いざというときのために知っておきたい 公的機関による生活支援
生活保護と自立支援の違い
生活保護と自立支援は共に生活に困窮している人を扶助する制度ですが、両者は「利用の条件(困窮の状態や保有する資産による制限)」「実際に現金が給付されるかどうか」という点で大きく異なります。
生活保護は、憲法に記載された基本的人権(最低限度の生活をする権利)に基づき、地方公共団体が生活のための金銭や居住を保証する制度であり、頼れる家族や知人がおらず援助が望めない人、貯金や不動産など生活に足りるだけの財産を有していない人、年金の受給要件も満たさない人などが支給対象です。
対して、自立相談支援事業は2015年に施行された「生活困窮者自立支援法」に基づき、生活に困窮している方が生活保護に至る前の段階で早期に自立できるよう、包括的にサポートする制度です。
文字通り自立に向けたサポートが主な目的となり、例えば「災害などが原因で仕事ができず家賃が払えない」「仕事が中々見つからない」「長期に亘ってひきこもりの状態が続いている」といったように、あらゆる事柄に対して支援を実施しています。
| 生活保護 | 自立支援制度 | |
|---|---|---|
| 制 度 趣 旨 |
必要最低限度の 生活の保障 |
自立するための サポート |
| 根 拠 法 |
憲法、生活保護法 | 条例含む各法令 |
| 対 象 者 |
資産や生活能力が 無い人 |
自立が 期待できる人 |
| 給 付 の 方 法 |
原則現金支給 | 原則現金以外 |
| 資 産 の 制 限 |
家や車は 原則不可 |
原則問われない |
| 申 請 窓 口 |
福祉事務所 | 地方公共団体の 窓口 |
いずれの窓口に相談しても、状況に応じて適切な窓口を案内してもらうことが可能です。
どちらが自身の状況にマッチしているのかが分からないという方であっても、まずは相談してみることを強くおすすめします。
具体的な生活困窮者自立支援制度
生活困窮者自立支援にはいくつかの種類があり、相談者の状況に応じて利用可能できる事業・制度が異なります。
| 名称 | 支援の内容や対象者 |
|---|---|
| 自立相談支援事業 ▼ | 生活に困りごとや不安を抱えている方を対象に、支援員がどのような支援が必要かをプランニングする制度 |
| 住居確保 給付金の支給 ▼ |
理由があって住居を失った方若しくはその恐れがある方を対象に家賃相当額を支給する制度 |
| 就労準備支援事業 ▼ | すぐに就労が困難な方に対し、一般就労に向けた基礎能力の訓練や就労機会の提供などの支援を行う制度 |
| 家計改善支援事業 ▼ | 状況に応じた支援計画の作成、相談支援、貸付のあっせんなど、家計の立て直しをアドバイスする制度 |
| 就労訓練事業 ▼ | すぐに一般就労することが難しい方に向け、一般就労に向けた支援や作業機会を提供する制度 |
| 子どもの学習・ 生活支援事業 ▼ |
子どもの明るい未来をサポートをテーマに、子どもの学習支援や日常的な生活習慣を支援する制度 |
| 居住支援事業 ▼ | 住居が無い方又は不安定な住居形態にある方に対し、一定期間宿泊場所や衣食を提供し自立を支援する制度 |
以下の項目では、具体的な条件や相談窓口などをさらに詳しく解説してまいります。
自立相談支援事業
家計が苦しいので立て直したい、住む場所が無いなど、どのように自立をするのかは相談者によって異なりますので、まずは一人ひとりの状況に合わせた「自立相談支援計画」をプランニングする必要があります。
対象となるのは、生活が現に困窮している方(離職により収入が途絶えてしまったなど)をはじめ、借金や家計管理に悩んでいる方、病気や障害、ひきこもり等の事情で就労に不安がある方など、多岐に亘ります。
全国の都道府県・市区町村の自立相談支援機関(自治体や社会福祉協議会など)に相談できますので、まずは相談から始めてみると良いでしょう。
住居確保給付金の支給
住居確保給付金は、文字通り住まいを失う恐れがある方に対して家賃を補助する制度です。
離職や本人の責任によらない休業、倒産等により離職と同程度の状況にある方が対象で、自治体から大家さんへ直接家賃を支払い、生活の基盤となる住居を維持し、延いては再就職を支援する制度となっています。
離職・廃業から原則2年以内であることに加え、自治体によって世帯収入による制限及び上限額があり、ハローワーク等への求職申込み、自治体の相談員との定期的な面談が必要などの要件を満たす必要があります。
就労準備支援事業
就労準備支援事業とは、仕事が長く続かない・他人とのコミュニケーションが苦手・現在ひきこもりの状態であり、抜け出したいといったように「働きたい気持ちはあるが就労に不安がある」という方を対象に、一般就労に向けた基礎体力をつける支援事業です。
自立生活リズム、健康管理の指導などの生活習慣の改善をはじめ、身だしなみの整え方や自立ボランティア活動、挨拶などのコミュニケーション訓練、実際に就労体験や集団での軽作業を行うなど、状況に応じて3つのステップ(プログラム)があり、働く自信を自然に身に付けることができます。
家計改善支援事業
お金の使い方が分からない・借金で生活が困窮しているという方を対象に、自分の力で家計管理ができるようにサポート・専門家による債務整理の支援・貸付のあっせんなどを行う支援事業です。
実際にキャッシュフロー表を作成し、何にいくら使っているかを把握するとともに、どこを削れるかを一緒に確認するなど、かなり踏み込んだ内容の支援を行うという特長があります。
また、家賃や税金、公共料金、社会保険料などの滞納がある場合、窓口へ同行して分割納付の交渉、減免や給付金の申請などもサポートしてくれます。
就労訓練事業
就労訓練事業は、長期間のブランクがあり働く感覚を取り戻したい方・対人関係に不安があり配慮のある環境で働きたい方など、直ちに就職することが困難な方に対し、状況に応じた就労の機会を提供し、必要な支援を行う事業です。(支援員の見守りがある環境で実際に働く)
言わば通常の雇用と福祉的な支援(就労準備支援など)の中間に位置するステップで、軽作業などが中心で賃金が発生しない非雇用型、最低賃金以上の給与が支払われる(労働基準法が適用)雇用型があります。
子どもの学習・生活支援事業
子どもの学習・生活支援事業では、生活困窮世帯の子どもを対象に、基本的な生活習慣の定着や安心して過ごせる居場所の提供、学習、保護者への助言などのサポートを行っています。
大学生ボランティアや教員OBなどによる勉強のサポート、キャンプや職場見学などの体験活動を通じてコミュニケーション能力や自己肯定感を育む、就学援助や奨学金などの教育に関わる公的支援の情報を提供するなど、幅広い側面で支援しています。
子育ての悩み、子どもとの接し方へのアドバイスなど、子どものみならず保護者への支援も行っているという特徴があります。
居住支援事業
従来は「一時生活支援事業」という名称の支援でしたが、2024年(令和6年)の法改正で「居住支援事業」に改称され、住まいの提供のみならず入居後の生活までをトータルサポートしてくれる内容となりました。
ホームレスの状態が続いている、高齢が理由で住まいが決まらない、何らかの理由で更新を断られてしまったなど、住居確保に困難を抱える方を対象に、安定した住まいを確保し、延いては自立した生活を継続できるようにすることを目的としています。
不動産会社に同行する、保証人がいない場合の措置などの入居時のサポートに加え、定期的な訪問による安否確認、生活トラブルの相談対応など入居後のサポートも行っています。
相談は「自立相談支援機関相談窓口」へ
相談先は、全国に設置されている自立相談支援機関相談窓口です。
各都道府県及び市区町村に設置されているので、ご自身のお住まいから相談先を探してみると良いでしょう。
また、生活困窮者自立支援制度では原則として現金の支給が行われない点、借入のあっせんを利用する場合はあくまでも返還が必要になる点には注意が必要です。
「生活保護」「自立支援制度」「キャッシング」「クレジットカード現金化」など、状況に応じて上手に使い分けるようにしてください。
当ページでは「生活困窮者自立支援制度」をテーマに、制度の概要や申請先、対象となる人などを紹介させていただきました。
厚生労働省HPでは、自立支援制度の概要がさらに詳しく記載されているため、制度の利用をご検討中の方はこちらもぜひ確認しておきましょう。
参考サイト
厚生労働省:「生活困窮者自立支援制度」
Familiaのクレジットカード現金化はその日のうちに現金を得ることはできるものの、利用した分は後日クレジットカード会社へ支払わねばなりません。
そのため、中長期的に生活状況を改善してゆきたい場合であれば、公的機関の支援を受けた方がよいケースもあります。
公的機関による生活支援には「生活保護制度」「生活困窮者自立支援制度」などがあり、それぞれで利用条件や支給方法が異なります。
当ページでは、後者の生活困窮者自立支援制度にフォーカスを当て、具体的な制度の概要、国や市区町村ごとの支援内容、相談窓口等をご紹介してまいります。
まずはどのような制度があるのかを知るところから始めてみましょう。